Top Message 代表挨拶
代表取締役社長
2025年9月、当社は創業丸50年を迎えることができました。
ひとえに皆様のお力添えの賜物と心より感謝申し上げます。
50年の歴史を振り返り、一言で表現するならば、既成概念を覆す挑戦であったと認識しております。
物流資材の専門商社としてスタートした当社は、まだ静電気対策という概念すら無かった頃、いち早く静電気対策搬送ボックス等に取り組み、そしてコンテナの取引から文化財保存のための専門道具や機械を作り始めました。創業者である河野廣司にその当時のことを聞いた際、「生き残るために必死であったこと。周りと同じようなことを取り組んでいても差別化することの難しさがあり、独自性を出すことに全力を傾けた」という思いがあったようです。
そしてその思いは継承し続けると共に、プラスアルファの思いや使命が芽生えてきました。私たちの商品サービスは社会的意義や責任があること、そして次世代に向けて一時の風潮に流されず、開心見誠の精神をもってモノづくり、コトづくりにこれからも励んでいく所存です。
気候変動、止むことなく続く戦争、社会的分断などの時代の荒波が激しい中、私たちには「分け合うチカラ」が試されていると感じます。
会社の成長と共に社会への貢献を忘れずに、より一層人材育成、商品サービスづくりに邁進して参ります。
インタビュー INTERVIEW
これまでの歩みと、会社への想い
そして、これから描く未来について
自由に話していただきました。
事業継承から広がった視野
第一合成株式会社を父から継いで社長に就任したのは、私が29歳の頃でした。突然の事業承継で、社会人としての経験も浅く「自分には何もない」と感じていた私を支えてくれたのは、社員をはじめ、取引先や社外の多くの方々の存在でした。
数えきれない試練と学びを経て今日に至りますが、振り返れば、何よりも「人とのご縁」に恵まれたことこそが、私の人生における最大の財産だと感じています。
事業を引き継ぐ決断は容易ではありませんでしたが、苦労を上回る大きな学びと成長を得られ、最善の選択だったと確信しています。
フランス出張がもたらした転機
社長就任当初は、父の言葉や姿勢を思い返しながら経営を模索していましたが、どこかその考えに縛られていたように思います。そんな意識を大きく変えたのが、2014年のフランス出張でした。
あるお客様から「道具も文化です。もっと誇りを持っていいんですよ」と声をかけていただき、その言葉を胸に刻みながら帰りの飛行機で思い返すうちに、涙が止まりませんでした。
それまで「文化財を守る道具をつくる」という自負はありましたが、「道具そのものも文化である」という視点を得たことで、仕事の捉え方が大きく変わったのです。以来、単に要望に応えるだけでなく、時代に応じて「コト」を提案できる企業を目指し、コンセプトから自ら考えた商品・サービスづくりに挑戦しています。
その象徴が、自然由来素材を活用した展示ケース「沙羅双樹シリーズ」です。環境配慮や価格の安定性に優れ、展示空間に温かみを生み出すこの製品は、お客様からも高い評価をいただいています。
人を育てる「分け合うチカラ」
ゼロからイチを生み出す作業には苦労が伴いますが、その瞬間に得られる喜びは何にも代えがたいものです。
振り返れば文化財保存分野への参入や静電気対策製品の開発など、第一合成の歩みは常に挑戦の連続でした。だからこそ社員には「これは自分たちの領域ではない」と線を引かず、積極的に挑戦する姿勢を期待しています。
第一合成の文化は「競争より協力」です。個々の成果を追うのではなく、「分け合うチカラ」を大切にし、集団として成長しながら社会に価値を提供できる企業でありたいと考えています。実際、当社には与えられたことをこなすだけでなく、自ら改善や提案に取り組む社員が多いのも特徴です。だからこそ、社員には自らの可能性を信じ、殻を破って成長してほしいと心から願っています。
仕事を通じて人生を豊かにする――その環境を整えることこそ、私が社長として果たすべき使命だと考えています。
新たな価値創造に向けて
第一合成は「モノづくりの会社」を超える未来を見据え、挑戦を重ねています。今後はイベントプロデュースの機能を強化し、文化財を活用した事業を積極的に展開してまいります。
地域やミュージアムとの連携をさらに深め、これまで接点のなかった人々も巻き込むようなプロデュースこそ、当社の提案力を発揮する舞台になると考えています。
また、当社の強みである環境配慮型商品についてですが、環境配慮型には二つの側面があります。自然環境と今置かれている環境への配慮や再考です。自然環境を守るための素材選び、与えられた空間を最大限に活かす方法をお客様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。
展示ケースと言えば一般的には鉄鋼類のことを指しますが、当社が開発したSARASŌJUは竹集積材の使用によって比較的に価格が安定すること、何よりCO2を削減できる点が環境にも寄与でき、鉄鋼類の世界的な高騰が続く中で代替品として、十分に役割を果たせると考え、開発に着手しました。
また、様々な現場で限られたスペースについてもこれまでのBOXの加工技術を活かして、「未来型収納」をあらゆる現場へ提案していきます。ダンボールプラスチックを使ったBOXは、軽くて、丈夫、自由度の高い設計、そして何よりリサイクルできるということも環境への配慮も兼ね備えています。第一合成の原点でもあるBOXの加工技術は、膠着状態になっている収納や管理にも一役買うことができる提案です。
そしてAI・自動化が進む中で、搬送行程における課題にも進化しています。当社のノウハウと実績が凝縮されているラインパレットは時代の変化に合わせて提案内容をアップデートしていますので、今後ともに注目していただけると幸いです。
モノづくりの枠を超え、社会に新たな価値を提供する存在であり続けるために、トータルでの提案力を磨き上げていく所存です。
ニッチ市場で培った強みを生かしつつ、新たなブルーオーシャンを見つけ出し、包括的な解決策を提案できる企業へ――それが第一合成のこれからの挑戦です。